富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。
相続対策を進めていく中で
”未成年者に対する贈与”
についての検討の場面が出てくることもありますが
”未成年者に対する贈与”
についての検討の場面が出てくることもありますが
・税の側面に加えて
・税の前提としての有効な贈与か否か
について悩む場面もあると思います。
そこで、これらについて、掘り下げて、考えてみたいと思います。
1.忘れたころに税務署からの電話
”贈与税の申告をしたから大丈夫!”
と思って安心していたら、相続発生後に
”その贈与税の申告に関する贈与は、有効な贈与ではありませんよ”
と言われて、対策にならなかった、ということは回避したいものですね。
この点については
・その贈与は、有効な贈与契約か否か
・有効な贈与契約ではあるが、相続税法上の否認規定などに抵触しないか
・有効な贈与契約ではあるが、相続税法上の否認規定などに抵触しないか
・贈与により移転した財産の評価額が適正か否か
などの検討が必要と言われています。
2.有効な贈与契約
安心できる有効な贈与契約として、まずは、民法の視点から検討してみたいと思います。
2-1:贈与(民法第549条)
贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
⇒当事者の意思表示の合致で成立(諾成契約)
2-2:書面によらない贈与の解除(民法第550条)
書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
⇒当事者の意思表示の合致で成立するので、書面でなくても有効
⇒ただし、書面でない場合には解除可能も、履行がされたら、解除不能
⇒不動産については引渡し(及びではなく)又は登記のいずれかをもって履行とされる
2-3:贈与者の引渡義務等(民法第551条)
贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。
負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。
2-4:定期贈与(民法第552条)
定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う。
⇒国税庁HPに解説がありますが、”そこまで厳しくないが、気は付けてほしい”との印象を、勝手ながら受けました。
2-5:負担付贈与(民法第553条)
負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。
⇒過去の諸事情(取引価額と評価額の差異を利用した税負担回避行為)による経緯から創設された規定で、評価額につき、一般的には、通常の贈与に比較して高くなると言われています
⇒同時に実施される預かり敷金贈与を含めた賃貸アパートの贈与については、原則として、一般的に当該敷金返還債務を承継させ(す)る意図が贈与者・受贈者間においてなく、実質的な負担はないと認定され、負担付贈与通達の適用はないとされています。
~国税庁_負担付き贈与関連③~
~国税庁_負担付き贈与関連③~
2-6:死因贈与(民法第554条)
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
2-7:持ち戻しと免除など(民法903条3項)
共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
3 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。
⇒税以外にも、円滑な遺産分割協議の視点と合わせて、贈与の実施が求められるものと考えられます
⇒特別受益の有無と、持ち戻し及び免除、遺留分などをある程度想定しながら、関係者にとって、円滑な協議を目指すことも、合わせて重要と考えられます。
⇒税理士の立場としては、弁護士法に規定する非弁行為に該当しないことの意識が必要と考えられます
⇒税理士の立場としては、弁護士法に規定する非弁行為に該当しないことの意識が必要と考えられます
2-8:おしどり贈与
2-8-1:民法903条4項(特別受益者の相続分)
4 婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第一項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。
⇒婚姻期間20年以上の配偶者への贈与は、持ち戻し免除となり、遺産分割時には対象外として計算
2-8-2:相続税法21条の6(贈与税の配偶者控除・一部抜粋)
婚姻期間が二十年以上である配偶者から、居住用不動産又は金銭を取得した者(過去に適用を受けた一定の者を除く)が、一定の要件を満たして居住の用に供する場合、その年分の贈与税につき、課税価格から原則として二千万円を控除する。
(相続税法)
(相続税法)
⇒デメリット(申告や登記費用・不動産取得税の負担や、相続時まで保有のデメリットが無いケースなど)の側面も合わせて、検討が必要?
次回は、贈与者・受贈者それぞれの注意点について、検討してみたいと思います。