税理士コラム(福田税理士事務所)

税金・会計の専門家が、節税・決算・金融機関対策・起業など、税務に関するアドバイスを行います

福田税理士事務所
北陸税理士会・富山支部所属
TEL:076-482-5860
FAX:076-482-5788

【執筆実績】
日本実業出版社

【講師・講演実績】
富山県中小企業団体中央会
富山大原簿記法律専門学校
富山大学他

宅建合格証書 宅建AI予想スコア

富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。

試験開始から、直前までの、勉強の流れについて、記憶の範囲で振り返ってみました。


3.5月上旬に開始して10/20(試験日)までの勉強の流れ
3-1:5月上旬~8月中旬
講座受講を1回、あとは、スタサプのスマート・過去問を何度も繰り返しました。


3-2:8月中旬~10月上旬・模擬試験
順番は
”①スタサプの合格模試②LECの書籍4回分③TACの公開模試”
で、計6回を、8週の中で解きました。


3-3:8月中旬以降
次の流れで回答しました。
①1日あたりのAI問題問題復習(1ヶ月ランダム・以降は古い順)
・13年分過去問を”権利15・宅建業法20・法令上10・統計以外で税その他10”(15日以内で1回転・ランダムに慣れる)
・合格模試5問(10日で1回転)
・スマート問題45問(15日以内で1回転)

②1日あたりのセレクト過去問
・権利1(全11・15日以内で1回転・分野に慣れる)
・宅建業法~税その他を2~3(全24・15日以内で1回転・分野に慣れる)

③直前対策講座は、5講義を毎週1回1.75倍速で視聴

④LEC4回・TAC1回模試復習
合計(50×5=)250問を、本試験までに5回転復習するスケジュールで、20~30問/1日勉強しました。

3-3:勉強時間
8月中旬までは、1.5~2.0h/日、その後は1.75h~2.5h/日、直前2週間は3h/日ぐらいでした。



4.勉強量と試験の成果の相関関係
4-1:宅建業法
試験でも20問の出題ですが、勉強量に対する得点としての成果が最も出やすいと思いました。

当初、宅建業法の勉強は乗り気でなかったのですが、宅建業法の知識は仕事上予想外に役に立っていて、有難いものです。

効率的に得点を獲得する場合、宅建業法を確実に得点源とすることは重要ですね。
(極端ですが、ギリギリ合格を狙う場合、宅建業法で20点、その他は(30問×得点率60%=)18点)

4-2:権利関係
 限られた勉強時間での合格を目指す場合、権利関係は、得点率を50%目標とした方が良いと思いました。

 私の場合、今回の得点(13/14)は、司法書士試験での民法・不動産登記の知識で6点獲得でしたが、この6点と司法書士試験での民法・不動産登記の勉強量を考えた場合、得点に対する勉強量の負担があまりにも大きすぎるような気がしました。

 他科目優先、余った時間で権利関係、というのも良いかもしれません。

4-3:法令上の制限
 宅建業法と比べて、範囲が広く範囲に対しての得点(8点)の比率が少ない印象です。

 かといって、おろそかにすると、合格点に届かず・・・

 内容も広く濃く、8問ではなく、もう少し問題を増やしても良い気がしますが、そうすると、キリが無くなり・・・

試験での合格点の視点からは、専門学校が上手くまとめてくれてるので、専門学校の力を借りて、ということですかね。

4-4:税その他
 法令上の制限と同じ得点(8点)ですが、法令上の制限に比較して、勉強量も少なく、得点を取りやすい、と感じました。

4-5:全体として
 宅建業法(20問)・税その他(8問)は、得点を取りやすい印象ですね。

 その上で、権利関係(14問)・法令上の制限(8問)は、限られた勉強時間の中での効率の良い勉強、深追いし過ぎない程度にバランス良く、というのが良いような気がしました。



5.最後に
 少しの油断で、10点以上失点する可能性があり、宅建は
”なんとも手応えの無い試験”
と感じました。

 油断が出来ない感じなので、最後まで負担を感じました。

 一方、司法書士・宅建の試験を通じて得た知識は、税理士業務にとても役に立っていて、有難いです。


 他の税理士さんからは
”最近は税理士さんに相談されることが税以外で大変で・・・”
と、飲み会などで言われることもありますが、他の税理士さんのお役にもお役に立てるようになるのも良いかもしれませんね。

 また、法務や不動産の相談は、最終的には司法書士さん・弁護士さんのお仕事になりますが、司法書士さん・弁護士さんへの橋渡しのような役としてもお役に立てれば、とも思っています。

宅建合格証書 宅建AI予想スコア

富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。

宅建の試験を10/20に受験してきました。

結果は合格でしたが、模擬試験から本試験まで”なんとも手応えの無い試験”という感じでした。

相続・事業承継に関して必要な知識の補充のために、司法書士約2,400時間・宅建500時間の勉強を通じて、実務に大きく貢献する知識を得ることができ、両試験制度に大変感謝しています。

すでに進行中の、相続・事業承継対策でも、相続税・納税資金対策と合わせて、遺留分等を勘案した遺産分割対策などで大きく助かっていて、お客様の円滑な相続・事業承継対策にて有効活用させて頂いています。

合格安全圏を目指した勉強方法について、振り返ってみました。


1.模擬試験と本試験自己採点の結果(50点満点)
1-1:模擬試験
・LEC書籍第1回:43点(順位:247/3828)
・LEC書籍第2回:38点(順位:691/3428)
・LEC書籍第3回:38点(順位:473/2043)
・LEC書籍第4回:44点(順位:56/2685)
・TAC全国公開模試:38点(順位:335/7551)

 ある程度スタサプで基礎知識を身につけた上での、これら模試の受験のメリットとしては
・初見の問題に慣れる
・パソコン以外での紙媒体での試験に慣れる
・スタサプAI実力スコア通りの得点が取れるか

を想定して望みましたが、これらの他に
・過去問とは異なる雰囲気の問題に遭遇
・同じ問題の繰り返しは重要も、問題の文章を丁寧に読む訓練
・失点を通じて、足りない知識の認識と習得

などのメリットがありました。


1-2:本試験の自己採点:44点(AI予想スコア:43.1点)


1-3:本試験の時間配分
 50問の回答が終了した時点で、14時15分でした。(13時開始・75分経過)

 疲れたので10分ほど休んで、14時25分ごろから、民法の気になる点をいくつか読み返しての確認作業を14時35分ごろまで行い、あとは休んでました。

 総括としては、法令上の制限で、じっくり読むと時間がかかると判断して、あいまいなままに解答を進めた部分があり、もう少し時間をかけるべき印象でした。

 ただ、結果として、時間に余裕がある中で、宅建業法を心に余裕がある状態で解くことができ、法令上の制限の失点と引換えの宅建業法の満点、という視点からは、この点は、必要な犠牲だったと思います。


2.各科目別の感想
2-1:権利関係(13/14:AI予想スコア11.8点)
 失点は問7の賃貸借契約を巡る法務でした、借主・貸主の死亡によって賃貸借契約は当然には終了しない、は明らかでしたが、後は出題内容に関する関連知識が出てこず、失点しました。

 問5の債務不履行における履行遅滞・問9の債務引受・問10の品質不適合を巡る買主行使不可権利は相当悩んで、確か損害賠償請求が債務者帰責性との牽連性があったがあとは・・・、と思ったら、得点出来ました。

 問6は、確か司法書士の勉強であったはずで、抵当権の実行がされても地上権が守られる必要があるので、4択はいずれも困るから・・・と思い、地上権消滅しないとしたら、得点出来ました。

 問8は、最初は全くわからなかったのですが、”あっ、クーリングオフは発信主義だけど契約は原則到達主義で、隔地者間でも例外はないような気がする・・・”と思って選択したら、得点出来ました。

 司法書士の勉強をしていなければ、”民法は13点-5点前後=8点前後”で、5点程度は失点していた可能性がありました。


2-2:宅建業法(20/20:AI予想スコア17.5点)
 宅建業法については、解きだして10問ぐらいの時点で
”シンプルで複雑な問題がなく、落ち着いて解けば今回の得点源になるのでは”
との印象を受けました。

 一方で、宅建業法は、模試では読み落としで失点することが多く、少し深呼吸をし、気を引き締め直しました。(いつも通り油断をしていたら、3点ぐらいは失点かと思います)

 問42の”人の死の告知に関するガイドライン”については、問題を解きながら”こんなルールが有るんだ”と、とても勉強になりました。


2-3:法令上の制限(4/8:AI予想スコア6.9点)
 得点率50%にショックでしたが、取れてもあと2点ぐらいとの印象でした。

 2択まで絞れたものの、その逆だった、が多いですが、民法と宅建業法に勉強の重点を置いたので、少しおろそかになっていたという印象も受けました。


2-4:その他(7/8:AI予想スコア6.9点  )
 問23のローン控除は、居住用財産譲渡の軽減税率と3,000万控除併用可能の問題を解いていたので、その流れでローン控除も可能だろう、と思ったら不可でした。

 後になって、買い換えの譲渡損の損益通算とローン控除は、税理士試験の所得税法のような懐かしい問題だなあと思いつつ、譲渡所得に関する税理士実務では、相談が有る度に、その都度しつこく調べるのですが、試験で突然聞かれると、難しい部分がありますね。

 せっかくなので、国税庁HPで調べてみましたが、宅建の受験生にとっては、あまり興味がないかもしれませんね。


2-5:司法書士試験を勉強していなかった場合の権利関係の想定得点
スタサプのスマート問題・過去問は2~3週で1回転、直前講義6回を週1で回転させた場合に、得点可能か否か、との視点で、検討してみました。

問1:○(意思能力無しの無効として2~4不明でも1選択可?)
問2:○(委任契約の報酬不要として1~3不明でも4選択可?)
問3:○(土地短期賃貸借で4分の3は過半数超として、1・2・4不明でも3選択可?)
問4:○(基本的論点として得点可?)
問5:△?
問6:×?(司法書士試験の受験勉強の知識として得点しました)
問7:×?(時間がかかりそうなので、効率性の観点から飛ばしました)
問8:△?(隔地者間契約と到達主義について、宅建が想定する民法の学習時間では難しいような気がしました)
問9:△?(消去法で得点しましたが、宅建が想定する民法の学習時間では難しいような気がしました)
問10:×?(損害賠償請求と帰責性について、宅建が想定する民法の学習時間では難しいような気がしました)
問11:○(基本的論点として得点可?)
問12:○(基本的論点として得点可?)
問13:○(共有持分の等分について、基本的論点として得点可?)
問14:△?

私見ですが、○7・△4・×3なので、7点という印象を受けました。


2-6:司法書士の試験勉強をしていなかった場合の想定得点
権利関係(7/14)
宅建業法(20/20)
法令上の制限(4/8)
その他(7/8)
合計(38/50)

合格安全圏とは言えない結果だったと思いますが、法令上の制限を正確に読んでいれば2点加算で40点で、これが限界だったと思いました。

次回は、宅建の勉強の振り返りと、科目別の優先順位などについて考えてみたいと思います。

富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。

①及び②を踏まえて、贈与契約の有効性について検討していみたいと思います。



6.未成年者を受贈者とする贈与
6-1:意思能力を有するとされる受贈者に対する贈与
原則として、有効な贈与契約と考えられます。
⇒単に権利を得、義務を免れる行為は、制限行為能力者である未成年者にとって、法定代理人の同意が不要(民法第5条1項但し書き)
⇒受贈者としての贈与契約に必要な意思能力が存するため


6-2:意思能力を有しない受贈者に対する贈与
受贈者としての贈与契約に必要な意思能力が存しないため、原則として無効



7.意思能力を有しない受贈者への贈与に対する対応(原則として無効)
7-1:未成年者の代理権を有する親権者
・財産の管理及び代表(第824条)
親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。
⇒親権者は財産管理等に関する法律行為を代表(代理)
⇒法定代理権に基づき、親権者が代理
⇒法律行為を行うのは親権者であり、未成年者の意思能力は不要


7-2:親権者の代理権により贈与契約が認められない事例
・親権者(第818条)
 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。
⇒親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う
⇒婚姻中に共同でない法律行為(贈与契約)の場合、民法818条第3項の要件を具備しないものとして、有効な贈与契約に該当しない可能性
⇒有効でない贈与契約に基づく資産の移転が、無効とされた場合
 ①被相続人の相続財産を構成して遺産分割協議の対象
 ②相続税の申告が必要な相続財産に該当など
 の影響?



8.最後に
 生前贈与は、有効な相続対策の一つとされていますが、”なんとなく財産の移転”が、贈与契約の要件を満たさず、ヒヤリハットの事例に遭遇することも多いです。


 有効な相続対策の一つである生前贈与のうち、未成年者を受贈者とする贈与について考察してみましたが、税だけでなく、贈与契約の有効性についても、リスクを排除したいものです。


 ”生前贈与の記事を週刊誌などで見ることも多く、生前贈与をしないといけない気持ちになるのですが、生前贈与をしないといけないのですか?”
と聞かれることもありますが、生前贈与をしないといけないという法律上の義務はなく、
 ”まずは、ご自身の生活の安定の確保が大事ですよ”
と説明させて頂くことも多いですね。


 ご自身の安定した生活が最も重要なので、充分な生活資金を確保して頂き、その上で、必要に応じて、生前贈与を検討されるのが良いのでは、と、アドバイスさせて頂くことも多いですね。

富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。

(相続対策としての)贈与を実施する場合に、実施前に
”税の前提としての有効な贈与か否か”
の確認が必要です。


この点について、大きく分けて
・契約や財産所有が出来る能力があるか否か(権利能力)
・贈与をする、もらう、など(の法律行為の結果)が判断できる能力(意思能力)
・単独で、完全に、法律行為ができる能力(行為能力)
の点からの検討が必要と考えられます。



3.未成年者と権利能力
3-1:権利能力(第3条)
私権の享有は、出生に始まる。
⇒出生から権利能力の主体となるため、贈与契約の受贈者となることが可能とされています


3-2:出生前の胎児
・損害賠償請求権に関する胎児の権利能力(第721条)
胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。

・相続に関する胎児の権利能力(第886条)
胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
2 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

・相続人に関する規定の準用(第965条)
第886条及び第891条の規定は、受遺者について準用する。
⇒損害賠償請求権・相続・遺贈については、出生前の胎児にも権利能力が備わります



4.未成年者と意思能力
4-1:意思能力(民法3条の2)
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。
⇒贈与契約は、当事者の意思表示の合致で成立(諾成契約)しますが、その前提となる意思能力がないと、無効※になります
(※その贈与契約は、最初から発生していないとされます)
⇒意思能力の有無について、客観的側面から検討し、意思能力を有することを前提として、贈与契約を締結する必要があります


4-2:未成年者と意思能力
”未成年者は意思能力がない
というわけでも
”未成年者は意思能力がある
というわけでもなく
”その法律行為の程度による判断”
となるとされているようです。

負担がなく単純な贈与であれば、その点の意思能力としては、6~7歳が、一つの目安と言われているようです。



5.未成年者
5-1:未成年者(成年:民法第4条)
年齢十八歳をもって、成年とする。


5-2:未成年者の法律行為(民法第5条)
 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
⇒法律の判断能力が不十分のため、行為能力が制限(制限行為能力者)
⇒(親権者・未成年後見人などの)法定代理人の同意が必要
⇒ただし、”単に権利を得、又は義務を免れる法律行為”は、未成年者単独で有効

2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
⇒法定代理人の同意無しの法律行為は(無効ではなく)取消可能

3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

<参考:未成年者の営業の許可(民法第6条)>
 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2 前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。



5-3:単に権利を得、又は義務を免れる法律行為(民法第5条第1項但し書き)
該当する例としては
・負担のない贈与
・債務免除

該当しないものとしては
・負担付き贈与・遺贈
・負担付き遺贈の放棄
・相続の単純承認・限定承認・放棄
・債務の(免除ではなく)弁済を受ける

とされています。



5-4:未成年者の法定代理人の代理権
・親権の効力:財産の管理及び代表(民法第824条)
 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。
⇒代表は、代理と解釈するものとされています



富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。

相続対策を進めていく中で
”未成年者に対する贈与”
についての検討の場面が出てくることもありますが
・税の側面に加えて
・税の前提としての有効な贈与か否か
について悩む場面もあると思います。

そこで、これらについて、掘り下げて、考えてみたいと思います。





1.忘れたころに税務署からの電話
”贈与税の申告をしたから大丈夫!”
と思って安心していたら、相続発生後に
”その贈与税の申告に関する贈与は、有効な贈与ではありませんよ”
と言われて、対策にならなかった、ということは回避したいものですね。



この点については
・その贈与は、有効な贈与契約か否か
・有効な贈与契約ではあるが、相続税法上の否認規定などに抵触しないか
・贈与により移転した財産の評価額が適正か否か

などの検討が必要と言われています。





2.有効な贈与契約
安心できる有効な贈与契約として、まずは、民法の視点から検討してみたいと思います。


2-1:贈与(民法第549条)
 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
⇒当事者の意思表示の合致で成立(諾成契約)


2-2:書面によらない贈与の解除(民法第550条)
 書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
⇒当事者の意思表示の合致で成立するので、書面でなくても有効
⇒ただし、書面でない場合には解除可能も、履行がされたら、解除不能
⇒不動産については引渡し(及びではなく)又は登記のいずれかをもって履行とされる


2-3:贈与者の引渡義務等(民法第551条)
 贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。
 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。


2-4:定期贈与(民法第552条)
 定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う。
⇒国税庁HPに解説がありますが、”そこまで厳しくないが、気は付けてほしい”との印象を、勝手ながら受けました。


2-5:負担付贈与(民法第553条)
 負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。
⇒過去の諸事情(取引価額と評価額の差異を利用した税負担回避行為)による経緯から創設された規定で、評価額につき、一般的には、通常の贈与に比較して高くなると言われています
⇒同時に実施される預かり敷金贈与を含めた賃貸アパートの贈与については、原則として、一般的に当該敷金返還債務を承継させ(す)る意図が贈与者・受贈者間においてなく、実質的な負担はないと認定され、負担付贈与通達の適用はないとされています。
~国税庁_負担付き贈与関連③~


2-6:死因贈与(民法第554条)
 贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
⇒相続税の対象となります。
~国税庁参考資料~


2-7:持ち戻しと免除など(民法903条3項)
 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
3 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。
⇒税以外にも、円滑な遺産分割協議の視点と合わせて、贈与の実施が求められるものと考えられます
⇒特別受益の有無と、持ち戻し及び免除、遺留分などをある程度想定しながら、関係者にとって、円滑な協議を目指すことも、合わせて重要と考えられます。
⇒税理士の立場としては、弁護士法に規定する非弁行為に該当しないことの意識が必要と考えられます



2-8:おしどり贈与
2-8-1:民法903条4項(特別受益者の相続分)
4 婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第一項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。
⇒婚姻期間20年以上の配偶者への贈与は、持ち戻し免除となり、遺産分割時には対象外として計算


2-8-2:相続税法21条の6(贈与税の配偶者控除・一部抜粋)
 婚姻期間が二十年以上である配偶者から、居住用不動産又は金銭を取得した者(過去に適用を受けた一定の者を除く)が、一定の要件を満たして居住の用に供する場合、その年分の贈与税につき、課税価格から原則として二千万円を控除する。
(相続税法)
⇒デメリット(申告や登記費用・不動産取得税の負担や、相続時まで保有のデメリットが無いケースなど)の側面も合わせて、検討が必要?



次回は、贈与者・受贈者それぞれの注意点について、検討してみたいと思います。

富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。

引続き、宅建の試験勉強について整理してみたいと思います。


5.税・その他

5-1:不動産取得税・固定資産税・印紙税・登録免許税・所得税・相続税・贈与税
身近な税で、基礎知識があったので、スムーズに学習出来ました。
いわゆる”資産税”と言われる分野が中心ですね。


5-2:地価公示・鑑定評価
税務と密接な、不動産鑑定評価の基礎的な考え方が、とても勉強になりました。

端的には
・地価公示の手続きの流れや効力

・規準とされる場合(不動産鑑定士の公示区域の正常価格・土地収用関連)

・鑑定評価の手続き

・価格の種類(正常・限定・特定・特殊)

・3つの価格形成要因(一般的・地域・個別的)

・鑑定評価の手法(原価法・取引事例比較法・収益還元法)

などが、勉強になりました。


5-3:住宅金融支援機構・景品表示法・土地建物
住宅金融支援機構の概要や、物件の表示に細かいルールがあることなどが勉強になりました。
土地については、埋立地と干拓地、扇状地、液状化現象など、宅地適格か否かの視点が勉強になりました。

建物については
・部材(木造・鉄骨・コンクリなど)

・構造(ラーメン式・壁式・トラス式・アーチ式)

・基礎(直接基礎・杭基礎)

・地震対策(耐震・免振・制振)

などが勉強になりました。

このあたりは、試験対策上は、深入りしてはいけないそうです。



6.最後に
宅建は、会計事務所に勤務する前に勉強するということも聞いたことがあったのですが、とても勉強になりました。

司法書士試験や宅建の試験勉強を通じて、多くの知識が得られて、とても有難いと思いました。

知識を得られたので、もう満足してるのですが、試験を受けるかどうかは、ゆっくり考えてみたいと思います。

富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。

引続き、宅建の試験勉強について整理してみたいと思います。


4.法令上の制限
科目としては、都市計画法・建築基準法・農地法・盛土規制法・土地区画整理法・国土利用計画法などを学習しました。

4-1:都市計画法
土地評価と関連性も高く、最も勉強したかった部分です。

端的には
・都市計画法は快適なまちづくりのための法律

・そのためには”①都市計画区域指定⇒②区域区分指定⇒③地域地区の指定など※”の手順 
(※④都市施設・市街地開発事業・地区計画⇒⑤都市計画決定)

・区域区分(市街化区域・市街化調整区域と、非線引区域)

・大きく分けて住居系・商業系・工業系の、13種類の用途地区(と補助的地域地区)

・開発行為を必要とするケース・しないケース

などを勉強することができました。

都市計画法上の用途地区と、国税庁路線価図における地区の相関性についても、少しずつ理解が深まってきました。


4-2:建築基準法
都市計画法と合わせて、土地評価と関連性も高く、最も勉強したかった部分です。
”2項道路”など、断片的な知識は多かったのですが、初めて知ることが多かったです。

端的には
・目的は、快適なまちづくりと建築物を安全・衛生に保つ

・容積率・建蔽率のより細かなルール

・建築確認申請の適用が必要な事例
(映画館等、大規模建築、その他の一般建築物)

・全国すべての建築物の安全性・居住性確保のためのルール
(単体規定:防火壁・採光や換気・天井など)

・都市計画区域・準都市計画区域を対象とするルール
(集団規定:接道義務・用途制限・建蔽率・容積率・高さ制限・防火地域など)

などを勉強することができました。


4-3:農地法
3条(権利移動)・4条(転用)・5条(権利移動+転用)の許可・届出など、基本的な部分が勉強になりました。
税務とも密接な関連もありますね。


4-4:盛土規制法
盛土・切土の定義や、災害防止にとって大事な法律ということが勉強になりました。


4-5:土地区画整理法
”換地処分の圧縮記帳”という規定が税法にありますが、土地区画整理法を通じて、基礎知識が得られました。


4-6:国土利用計画法
地価高騰抑止の観点から、土地売却時の報告については
”事後届出⇒事前届出(注視区域・監視区域)⇒許可(規制区域)”
の順に強化されるそうです。

富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。

司法書士試験の勉強を通じて、おかげさまで、仕事がスムーズになりました。

ただ、土地家屋の評価などで掘り下げたい部分もあり、不動産鑑定士の試験勉強が良いと言われたのですが、負担が大きく・・・

そんな時に、宅建の勉強は、標準学習時間が300時間ぐらいだけど結構良い、ということを聞いて、宅建の勉強を始めてみました。


1.宅建の勉強
司法書士試験の勉強の流れで宅建の勉強をしてみたところ

・民法については、一部以外は、司法書士試験の勉強で十分

・その他、ある程度知っている部分も多かったので、170時間ぐらいで完成
(司法書士試験の勉強が無ければ、300時間以上必要との印象)

という状況になりました。宅建の勉強を整理してみたいと思います。

宅建2
宅建1



2.権利関係
おおむね、司法書士試験の勉強のおかげで、負担が少なく、借地権・借家権については、かなり細かいところまで勉強することが出来ました。

・借地借家法上の借地権は、建物所有前提の賃借権・地上権で

・相続税上も、その解釈はほぼ同じで

・所得税法・法人税法における借地権は、相続税法に比較して拡大

など、借地権などが、税法以外の法律の視点と合わせて、知識として理解できました。





また、相続税法における財産評価などでおなじみの借地権ですが
・借地借家法上の借地権は原則として30年以上

・更新は20年、10年の流れで、債務不履行等が無ければ建物買取請求権行使可能

・対抗要件は、借地権登記の他、借地上登記建物所有の場合も

・更新無し希望の場合、(50年以上の)定期借地権・(10年以上50年未満の)事業用借地権など



財産評価においてもおなじみとなる借家権ですが
・借地借家法としての保護の対象となる借家権は、建物の(使用貸借ではなく)賃貸借
(借地権とは異なり引渡しに強い権限)

・対抗要件としての賃借権の登記が困難なため、建物の引渡しに対抗要件具備

・造作買取請求権・賃料増減請求権の有無など

・要件具備と引換に、更新なしの定期建物賃貸借の契約が可能


などを学ぶことができました。



3.宅建業法
不動産業を営む予定はないので、最初は、とても苦痛でしたが、現在進行中の譲渡所得の助言業務で、かなり相関性があることもあり、重要性を実感しています。

また、民法や法令上の制限との相関性もあり、35条(重要事項説明書)と37条(契約書)、媒介、クーリングオフや広告など、いろいろと勉強になった部分も多かったです。

供託については、司法書士試験での供託法のうち、(当然ですが)不動産業に関してを大変に細かく勉強する、という印象でした。

端的には
・宅建業法の取引の定義(自ら貸借などは対象外など)

・宅建業法の免許・宅地建物取引士の免許のこと

・万一に備えて最初に準備が必要なお金など(営業保証金・弁済業務保証金(分担金))

・宅地建物取引業保証協会の役割

・広告の規制(かなり細かいことに驚きました)

・重要事項説明(35条)・契約書(37条)

・(3種類の)媒介や代理を巡るルール

・報酬のルール

・クーリングオフ、損害賠償予定、手付金等、担保責任や割賦販売

・住宅の瑕疵の担保に関するルール

などを学ぶことができました。

富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。

引き続き、司法書士試験のことを整理してみます。



4.訴訟等(民事訴訟法・民事執行法・民事保全法・供託法)
訴訟関連は、個人的には、かなり苦手でした。
個人的な感想としては
・ボリュームは”民事訴訟法>供託法>>民事執行法・民事保全法”?

・民法・不動産登記法・商法会社法・商業登記法ほど時間がかけられない?

・理解に重点を置くと、とても奥が深く、民法等と同等以上の時間が必要?

・試験対策上は、最低限の学習時間で合格点に到達?

という印象でした。

一方で、税務の現場で役に立つ知識も多く、時間があれば、もう少し勉強したいと思いました。



4-1:民事訴訟法
特に印象的だったのは
・事実には、主要事実、間接事実、補助事実が存在

・裁判所は当事者の主張していない事実を判決の基礎とできない(弁論主義第1テーゼ)

・裁判所は当事者間に争いのない事実(主要事実のみ)は判決の基礎としなければならない(弁論主義第2テーゼ)

・裁判所が当事者間に争いのある事実を証拠によって認定する場合には、必ず当事者の申し出た証拠によらなければならない(弁論主義第3テーゼ)

という部分でした。

税務の実務でも、大変参考になる考え方でした。


4-2:民事執行法
お金(請求権)を払ってくれない場合に、強制的に払ってもらうルールと言われています。
勝訴しただけでは、請求権は満足できない、ということで、債権者の満足のために、とても細かいルールが存在することが勉強になりました。

端的には
・執行には①強制執行②担保権の実行としての競売③留置権の換価④債務者の財産開示

・不動産執行の方法として、家賃収受による方法(強制管理)と売却による方法(強制競売)

・債権執行・動産執行

・金銭債権以外の請求権の強制執行として、直接強制・代替執行・間接強制

などでした。



4-3:民事保全法
お金(請求権)を払ってもらうまでに手続きに時間がかかるので、その間にお金(財産)が無くなってしまうと困るというこで、そのためのルール、などと言われています。

端的には
・民事保全の方法には、仮差押えと仮処分が存在

・金銭の支払い目的には仮差押え

・仮処分①係争物に関する仮処分には、処分禁止の仮処分と占有移転禁止の仮処分

・仮処分②は、仮の地位を定める仮処分

などでした。



4-4:供託
あくまでも個人的な印象ですが、”トラブルが起きているので、より安全のために、公的に認められる機関に、お金を置いておく”という印象を受けました。

端的には
・対象となる物は、金銭・有価証券・振替国債・動産・不動産

・一定の場合には、競売後の代金を供託

・供託の種類は、弁済供託・執行供託・保証供託・没取供託・保管供託の5種類

・供託所の管轄や、供託をする場合の添付書面や記載のルール

・供託後の、戻って来ない場合(被供託者への還付)と、戻ってくる場合(供託者の取り戻し)
などでした。



5.司法書士法・憲法・刑法
税理士業務とはあまり相関性がないのですが、面白みを感じながら勉強できました。

日本税理士政治連盟が強制加入でないのが、確か、南九州税理士会事件だった、というのを噂で聞いていたのですが、憲法の判例にも記載されていました。

富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。

引き続き、司法書士試験のことを整理してみます。



3-5:記述試験(不動産登記・商業登記)
私の場合、記述試験問題の練習を通じて、試験全体(多肢択一・記述試験の双方)が、ようやく理解出来るようになりました。

3-5-1:不動産登記
端的には
・遺言、相続関係図や遺産分割協議書、売買契約書や調停調書などから、必要な事項を抜粋して、所有権移転に関連する事項を抽出

・金融機関などの弁済等の資料から、抵当権や根抵当権の抹消登記の申請

・契約書などから、(共同)抵当権・根抵当権などの設定

・抵当権・根抵当権の順位譲渡・放棄など

・ときには賃借権・地上権などの登記申請

という感じでした。


3-5-2:商業登記
端的には
・定款や、取締役会・株主総会の議事録などから登記事項の抽出

・増資の場合、適法でない書類につられて登記申請をしないようにしないといけない

・合併や会社分割の場合、契約書や議事録があっても、債権者保護要件に瑕疵ありの場合、登記申請できない

という感じでした。

いずれも、定款や各種決議等の内容から、適法部分を抽出しての登記申請書作成、という流れなので、これらのトレーニングのお陰で、登記事項証明書の、理解の精度と速度が上昇したと思います。




【最後に】
法律を体系的に理解したいと思い、はじめた司法書士試験勉強ですが
・ボリュームがかなり多い

・直前期には、合格レベルを維持するには、35~42時間/1週間が必要

・多種択一を網羅した上で、不動産登記・商業登記の記述試験勉強を実施して、はじめて登記事項証明書をスムーズに理解できるようになった

・精神的・身体的に苦痛を伴うが、まとまった時間の勉強が可能であれば、得られるものも大きい
と思いました。


一方で
・試験に合格しても、実務としてはかなり奥が深い

・簡単に出来る仕事ではない

・税理士業務と司法書士業務を平行するには、思った以上に大変

・試験の合格・不合格にかかわらず、今後も継続して、安心できる司法書士さんにお願いしたい

ということも感じました。


試験については、5~10年後に、機会があれば、チャレンジしてみたいと思いました。

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