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富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。

消費税法と言えば、簡易課税や特定期間、調整対象期間や高額特定資産の仕入等など、かなり注意が必要な税目の1つと言われています。

そして、”税理士に聞かずに進めて失敗した”となるケースも多いようです。




【簡易課税とは!?】
消費税の検討に当っての基本項目の1つとして、”簡易課税を選択すべきかどうか”というものがあります。

簡易課税制度については、国税庁のHPにも詳しく記載されています。

一般的には、”設備投資の有無”や”他の制限規定”を見ながら、選択するかどうかを検討します。

ところで、簡易課税制度選択届出書の記載で”うっかり間違えた”との事例が”意外”にも多いそうです。



【簡易課税制度選択届出書に記載する基準期間の課税売上高】
簡易課税を選択できるかどうかの要件の1つとして、通称”2期前の売上が5,000万円以下”というものがあります。

この要件、正確には、”その基準期間における課税売上高が5,000万円以下である課税期間”となります。

そして、”2期前の売上が5,000万円以下”の部分で間違えてしまうケースが多いそうです。



【2期前の売上5,000万円以下とは】
2期前とは、正確には基準期間のことになります。

そして、基準期間が法人設立の日の属する事業年度などの場合、基準期間が1年ではない場合もあります。

この場合に注意が必要となります。



【基準期間が1年に満たない法人】
この場合の簡易課税の判定については、
”基準期間中の課税売上高をその事業年度の月数の合計数で除し、これに十二を乗じて計算した金額”
を算出することが必要となります。

ちなみに、”消費税簡易課税制度選択届出書の記載要領等”の”3_記載要領(5)”に記載されています。

ただ、これだと”税理士なのに租税法律主義でない”と言われてしまいそうです(笑)

ということで、根拠条文を最後に記載します。



【もう一つの罠】
ところで、”消費税簡易課税制度選択届出書の記載要領等はしっかり見ているから知っているよ”という方もいるかと思います。

それはそれで危険かもしれません・・・

というのも、”3_記載要領(5)”の注書きにおいて、
”消費税額及び地方消費税額を含まない金額~”
とあります。

なので、”基準期間の売上から消費税率を控除した金額を記載”することになります。

ところで、国税庁のQ&Aでは、以下の通りとされています。
・・・基準期間において免税事業者であった場合、その基準期間中の課税資産の譲渡等には、消費税が課されていません。したがって、基準期間における課税売上高を計算するときには、税抜き処理をする必要はないことになります。・・・

実務家としては、これらの見解がなされた歴史的経緯を知っているので違和感を感じないのですが・・・

税を職業としていない人が見ると、矛盾しているような気もしますね。



【根拠条文(消費税法一部抜粋)】
(小規模事業者に係る納税義務の免除)
第九条 事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者については、第五条第一項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、消費税を納める義務を免除する。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
2 前項に規定する基準期間における課税売上高とは、次の各号に掲げる事業者の区分に応じ当該各号に定める金額をいう。
一 個人事業者及び基準期間が一年である法人 基準期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額(第二十八条第一項に規定する対価の額をいう。以下この項、次条第二項、第十一条第四項及び第十二条の三第一項において同じ。)の合計額から、イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した金額の合計額(以下この項及び第十一条第四項において「売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額」という。)を控除した残額
イ 基準期間中に行つた第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額
ロ 基準期間中に行つた第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額に六十三分の八十を乗じて算出した金額
二 基準期間が一年でない法人 基準期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から当該基準期間における売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額を当該法人の当該基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数で除し、これに十二を乗じて計算した金額
3 前項第二号の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。

(中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例)
第三十七条 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が、その納税地を所轄する税務署長にその基準期間における課税売上高(同項に規定する基準期間における課税売上高をいう。以下この項及び次条第一項において同じ。)が五千万円以下である課税期間(第十二条第一項に規定する分割等に係る同項の新設分割親法人又は新設分割子法人の政令で定める課税期間(以下この項及び次条第一項において「分割等に係る課税期間」という。)を除く。)についてこの項の規定の適用を受ける旨を記載した届出書を提出した場合には、当該届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間(当該届出書を提出した日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間その他の政令で定める課税期間である場合には、当該課税期間)以後の課税期間(その基準期間における課税売上高が五千万円を超える課税期間及び分割等に係る課税期間を除く。)については、第三十条から前条までの規定により課税標準額に対する消費税額から控除することができる課税仕入れ等の税額の合計額は、これらの規定にかかわらず、次に掲げる金額の合計額とする。この場合において、当該金額の合計額は、当該課税期間における仕入れに係る消費税額とみなす。



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