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富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。

事業承継時に移転する自社株の税金が重い!
ということで、平成21年に納税の負担を猶予する税制が導入されました。

ただ、税制の適用が思ったほど伸び悩んだという経緯もあり、平成30年に新たな制度が導入されました。
(平成21年度創設のものを”一般”、平成30年度創設のものを”特例”と呼びます。) 

そこで、新たに創設された”特例”について、検討してみたいと思います。


【”特例”の特徴】
<納税が猶予される税額が大幅に増加>
 一般では、猶予される税額は約半分(53%)でした。
 その理由としては、以下のものが該当します。
・適用株式される株式数が全体の3分の2
・減額となる評価額は80%

 特例では、以下の通りとなりました。
・適用株式される株式数⇒3分の2から全てへ
・減額される評価額⇒80%から100%へ

そのため、”53%から100%になった”と言えます。


<従業員数が2割以上減少したら直ちに納税ではない!?>
 一般では、”雇用確保要件”として、5年間の雇用平均が2割以上減少した場合には直ちに納税でした。

 特例では、”認定経営革新等支援機関の意見が記載された書類の提出”があれば、原則として”直ちに納税”ということはありません。


<先代経営者以外の株主からの贈与も対象に>
 先代経営者の贈与の後であれば、先代経営者以外の者からの贈与も適用可能です。
(先代経営者より前の贈与は不可)
 但し、贈与後約5年以内、贈与者別の認定申請書の作成などに注意が必要です。

 ところで、実務的には、贈与か買取かが悩むのではないのかとも言われています。
 
 後継者への株式の集中の重要性を考えつつ、先代経営者以外の株式所有者と先代経営者・後継者の関係性を見ながらの慎重な検討が必要と言われています。


<後継者は3人までOK>
 代表権保有、株式保有要件(グループ50%超・上位・10%以上保有)などがありますが、3名まで認められます。

 一方、税務以外の側面からは、”複数は安定経営に良い”という向きと”安定経営には代表者は1名でないといけない”の向きがあるようです。

 税制以外の要素も勘案しつつ、会社の事情にあわせて後継者の人数をどうするか、慎重な検討が必要と考えられます。




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