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富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。

平成25年に総務省が実施した住宅・土地統計調査によれば、平成25年10月時点での空き家の総数は、約820万戸に達しており、そして、周辺の生活環境に悪影響を及ぼす可能性がある空き家の数は、年平均で約6.4万戸増加しているようです。

空き家の増加は、防災、衛生、景観等についての問題となることもあるため、対応策が必要であると言われていますが、人口減少社会においては、とても難しい問題と言えます。



【家屋が空き家になるタイミング】
居住用だった家屋が、空き家になるタイミングとして最も多いのは、「相続時」であると言われています。

また、相続時に空き家となる家屋の多くは、新しい耐震基準を満たしていないとも言われています。

そのため、”相続人が新しい耐震基準を満たさない空き家を取得”という状況に対して、税制面からの後押しということで、平成28年度税制改正大綱で特別控除の特例が織り込まれました。




【空き家にかかる譲渡所得の特別控除の特例案】
相続時から3年後の年の12月31日までに、被相続人が住んでいた家屋を取得した相続人が、その家屋・土地を譲渡した場合には、3,000万円の特別控除の適用が出来るというものになります。

そして、この家屋・土地ですが、空き家問題の対策の観点から、
”耐震性のない家屋は、耐震リフォームをするか、家屋を除却して更地を譲渡”
という要件が定めれられています。

その他、主な適用要件としては、以下の通りとなります。
 
①相続した家屋は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋(マンション等を除く)である
 
②その家屋には、相続発生時には被相続人以外に居住者がいなかった
 
③相続時から譲渡されるまでは、その家屋又は土地は”居住・貸付・事業”の用には供されていたことがない
 
④譲渡価格が1億円以下



税制面の後押しがありますが、耐震リフォームを実施するか、建物を除却する必要があるので、懐事情には痛いとも言えるかもしれません。




【耐震リフォーム又は除却費用の10%の税額控除!?】
ところで、この税制は、国土交通省・住宅局住宅総合整備課から要望されたもののようです。

そして、当初は、耐震リフォーム又は除却費用を行った場合に、標準工事費(上限250万円)の10%の税額控除の案であったようです。

大綱とは異なる規定であったようですが、耐震リフォーム・除却しただけでなく、その後譲渡という要件が追加され、かつ、単純な税額控除とは行かなかったようです。






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